弁護士ぐすくのノート

継続的に勉強をしないといけないなあ。 ということで、その動機付けのために作ったページです。 余剰時間、興味の度合いによって、内容の精度は大きく変わります。 正確なところは、それなりの文献を調べて下さい。 したがって、記事の内容については、一切の責任を負いかねます。

2011年08月

最三決平成23年07月27日上告却下決定及び上告受理申立て却下決定に対する許可抗告事件〜上告と議会の議決

最三決平成23年07月27日上告却下決定及び上告受理申立て却下決定に対する許可抗告事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110802103648.pdf


<事案>
産業廃棄物処分場の周辺地域に居住する相手方らを含む13名が共同原告となり、抗告人を被告として、
同処分場において廃棄物の処理及び清掃に関する法律の定める処理の基準に適合しない産業廃棄物の処分が行われ、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると主張して、

主位的に、福岡県知事が同法19条の8第1項に基づき上記支障の除去又は発生の防止のために必要な措置(以下「支障の除去等の措置」という。)を自ら講ずべき旨を命ずることを求め、

予備的に、同知事が同法19条の5第1項に基づき上記処分場の事業者に対し支障の除去等の措置を講ずることを命ずべき旨を命ずることを求めて、

行政事件訴訟法3条6項1号所定の義務付けの訴えを提起した事案です。


<判旨の概要等>
原審は、相手方らの上記予備的請求を認容する旨の判決をした。
これに対し、抗告人は、本件上告を提起するとともに、本件上告受理の申立てをした。
これに対して、原審は、
地方自治法96条1項12号所定の議会の議決を要する「普通地方公共団体がその当事者である…訴えの提起」には、普通地方公共団体が被告とされた訴訟において敗訴した当該普通地方公共団体がする上訴の提起が含まれるが、本件上告及び本件上告受理の申立ては、抗告人の議会の議決を欠いているばかりか、取り下げを求める議決をしたなどとして、本件上告及び本件上告受理の申立ては、いずれも不適法でその不備を補正することができないことから、これらの申立をいずれも却下する決定をしました。


(地方自治法)
第九十六条  普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
十二  普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第二項 に規定する処分又は同条第三項に規定する裁決をいう。以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において同じ。)に係る同法第十一条第一項(同法第三十八条第一項(同法第四十三条第二項において準用する場合を含む。)又は同法第四十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。


(民事訴訟法)
(原裁判所による上告の却下)
第三百十六条  次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。
一  上告が不適法でその不備を補正することができないとき。
二  前条第一項の規定に違反して上告理由書を提出せず、又は上告の理由の記載が同条第二項の規定に違反しているとき。
2  前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。


これに対して、最高裁は、
「地方自治法96条1項12号は、「普通地方公共団体がその当事者である…訴えの提起」について、その議会の議決を要する事項と定めており、この「訴えの提起」には、控訴若しくは上告の提起又は上告受理の申立てが含まれるものと解される。」
「その一方で、同号は、この「訴えの提起」のうち、普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る当該普通地方公共団体を被告とする抗告訴訟に係るものについては、取消訴訟の被告適格を定める行政事件訴訟法11条1項の規定が同法38条1項により取消訴訟以外の抗告訴訟に準用される場合を含めて、抗告訴訟の類型の種別を問わず、その議会の議決を要する事項から除外している。」
「したがって、普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る当該普通地方公共団体を被告とする抗告訴訟につき、当該普通地方公共団体が控訴若しくは上告の提起又は上告受理の申立てをするには、地方自治法96条1項12号に基づくその議会の議決を要するものではない。」


として、本件の本案訴訟は、抗告人が本件上告及び本件上告受理の申立てをするには、その議会の議決を要しないとして、原決定を破棄しました。
なお、一旦、適法な上告提起又は上告受理申立をした場合は、議会が取り下げを求める決議をしたとしても効力に影響がないとしています。




最三決平成23年07月27日審判期日を指定しないことに対する抗告却下決定に対する特別抗告事件

最三決平成23年07月27日審判期日を指定しないことに対する抗告却下決定に対する特別抗告事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110801164510.pdf


「民事事件について特別抗告をすることが許されるのは、民訴法336条1項所定の場合に限られるところ、本件抗告理由は、違憲をいうが、その実質は原決定の単なる法令違反を主張するものであって、同項に規定する事由に該当しない。
なお、抗告人が東京家庭裁判所立川支部に申し立てた調停事件(同裁判所同支部平成21年(家イ)第2368号)のうち財産分与及び年金分割を求める部分は、家事審判法9条1項乙類に掲げる事項に該当し、又は同事項とみなされるのであって、同事項に該当しない他の家庭に関する事項と併せて調停の申立てがされた場合であっても、抗告人が調停不成立のときに審判への移行を求める意思を有していないなど特段の事情がない限り、その事件名にかかわらず、家事審判法26条1項に基づいて審判に移行するものと解される(この場合に、申立ての手数料に不足があるときは、これを追加して納付することを要する。)。」


(家事審判法)
第二十六条  第九条第一項乙類に規定する審判事件について調停が成立しない場合には、調停の申立の時に、審判の申立があつたものとみなす。
2  第十七条の規定により調停を行うことができる事件について調停が成立せず、且つ、その事件について第二十三条若しくは第二十四条第一項の規定による審判をせず、又は第二十五条第二項の規定により審判が効力を失つた場合において、当事者がその旨の通知を受けた日から二週間以内に訴を提起したときは、調停の申立の時に、その訴の提起があつたものとみなす。


この事件については、情報量が少なく、どういう事件なのか全くわからなかったのですが、町村泰貴教授のブログが非常に参考になりました。
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2011/08/arret-bc1f.html#more

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弁護士ぐすく

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プロフィール
横浜国立大学大学院国際社会科学研究科国際経済法学系経済関係法コース(修士)修了
修士論文「地方分権による自治体の条例化について〜土地利用規制条例を中心にして〜」

東京弁護士会
税務特別委員会(H22~H24)
行政法研究部
知的財産権法部
自治体等法務研究部

労働相談、クレサラ相談等弁護士会法律相談センター法律相談担当


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物理(宇宙の仕組み)、釣り(海)、小旅行(街歩き)、歴史(日本(特に土着の細かな勢力)、古代中国(〜東晋)、欧州(〜中世))
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